「メインルート以外はどうなるんだっけ」

 紙安は、記憶にある二つのルートを引き出す。
 騎士団長の息子カイラスルートと、隣国の王子ミーシャルート。

 だが、その内ミーシャルートは恐らく駄目だと感じた。
 ルキスからロゼへの好感度が一定以下の状態でミーシャと会い、いくつかのイベントをこなす必要のあるこのルート。

 確かこちらに進むと、ロゼは途中でミーシャと隣国に赴き、戻ってこないのだ。
 二年次の途中でミーシャの母国にいる父親が難病を発症する。
 その治療のために特別な力を持つロゼは、ミーシャの母国フレーエン皇国へと赴き、そのまま彼と結ばれゆくゆくは彼の国の皇后さまとなる。

 そして以後のフェルメイア王国の出来事は描かれないのだ。
 物語の主人公であるロゼがいなければ、リューグの陰謀を止めることは適わないはず。王国滅亡の可能性の高いこちらはよって除外せざるを得ない。

 もう一つは、騎士団長の息子カイラスルートであるが……。

 筋書きはこうだ。カイラスには王国の諜報部で働く一人の兄がいた。
 しかし、兄はある人物を捜査する途中に、不審な死を遂げてしまう。