「な、なんで私に説明させるんですかっ」

「いや、最初はちょっとからかおうと思ってたんだけどだんだん面白くなっちゃって」

「お、面白いって……」

 ひどくないですか?

「悪い意味じゃないよ?」

「悪く無い意味なんてあるんですか?」

「さっき言ったじゃん。天野さん、かわいいからつい。からかっちゃうんだよ」

「なっ……!」

 先輩、そんなこと言われたら何も言えなくなるじゃないですか。

 ぎゅっと抱きしめる力が強くなり、その言葉が本当なんだと思えてきた。

 そう思えてくると、自然と唇を噛み締める力が強くなった。むしろ、きゅっと口をつむいでおかないと、ニヤけ顔が露わになってしまう。