「そのことですが、私ーー改心したんです」

「あぁ、さっき言ってたね。改心って、どうしたの?」

「ーー先輩、部屋から出ましょう」

 先程、先輩の顔をむにゅりと押しのけてまで拒んだ。それなのに、ものの数分で意見を変えたことで状況を飲み込めないといった様子。

「でも……本当に良いの?ファーストキスって、大切でしょ?」

 好きな人と推しは違う。それは、理解してるつもり。

「はい、大事なものだと心得た上で……先輩にお願いしても良いですか?」

「お願い?俺にできることなら協力するけど……」

 さすがです。俺にできることっていうか、先輩でなきゃダメです。

「胸キュンシチュエーションを、再現してもらえませんか?」

「は?」

 光の速さで、返答されてしまった。