「朔。来てくれてありがとう。上がって」
朔がパパにペコって頭を下げて、「お邪魔します」って言った。
「ゆっくりしていって。おじさん達も出掛けるから、何ももてなせなくてごめんね」
「パパ、いいからー。ほら、ママの支度も済んだんじゃない?」
ママが小さめの革のショルダーバッグを左肩に掛けてリビングから出てきた。
「お待たせ。そろそろ行きましょうか」
「そうだな。シイナ、今日はディナーも予約してるんだけど、大丈夫か?」
「うん。ママから聞いてるよ。私は適当にやっとくからゆっくりしてきてね」
私は元々送別会があるかもしれなかったから、ママ達にとっても今日が好都合だった。
でも事件のせいでそれが無くなったから、私は一人になった。
「二人で何か食べなさい」
パパが私にお金を持たせてくれた。
一万円札。高校生が二人で晩ご飯を食べるには、多すぎる。
「パパ、多すぎるよ」
「彼の前くらいは格好つけさせてくれよ」
パパがおどけるように笑って、朔が「ありがとうございます。いただきます」ってまた頭を下げた。
「パパ、行くわよ。遅れちゃう。朔くん、ごゆっくりね」
「はい。いってらっしゃい」
「いってきます」
パパと久しぶりのデート。
ママはすごく嬉しそうだ。
表情を見ていれば分かる。
私も、もしも朔と結婚することができたら、パパとママみたいに穏やかで尊敬し合える夫婦になりたい。
…なんて言ったら朔は、夢の見過ぎだって笑うかな。
朔がパパにペコって頭を下げて、「お邪魔します」って言った。
「ゆっくりしていって。おじさん達も出掛けるから、何ももてなせなくてごめんね」
「パパ、いいからー。ほら、ママの支度も済んだんじゃない?」
ママが小さめの革のショルダーバッグを左肩に掛けてリビングから出てきた。
「お待たせ。そろそろ行きましょうか」
「そうだな。シイナ、今日はディナーも予約してるんだけど、大丈夫か?」
「うん。ママから聞いてるよ。私は適当にやっとくからゆっくりしてきてね」
私は元々送別会があるかもしれなかったから、ママ達にとっても今日が好都合だった。
でも事件のせいでそれが無くなったから、私は一人になった。
「二人で何か食べなさい」
パパが私にお金を持たせてくれた。
一万円札。高校生が二人で晩ご飯を食べるには、多すぎる。
「パパ、多すぎるよ」
「彼の前くらいは格好つけさせてくれよ」
パパがおどけるように笑って、朔が「ありがとうございます。いただきます」ってまた頭を下げた。
「パパ、行くわよ。遅れちゃう。朔くん、ごゆっくりね」
「はい。いってらっしゃい」
「いってきます」
パパと久しぶりのデート。
ママはすごく嬉しそうだ。
表情を見ていれば分かる。
私も、もしも朔と結婚することができたら、パパとママみたいに穏やかで尊敬し合える夫婦になりたい。
…なんて言ったら朔は、夢の見過ぎだって笑うかな。



