空を見上げると、真っ黒な雲が、頭上にどっかりと腰を下ろしている。これは、大きな夕立が来そうだ。 「……、こっち」 「え、わ!」 緒都くんは私の手を引いて、屋根がある場所まで走っていく。 だけど、掴まれた手が……なんだかすごく熱く感じて。 「あ、ちょ……、待ってくださいっ」 クンッと、ブレーキをかけてしまった。 その際に、私を掴んでいた緒都くんの手が、するりとほどけていく。 「急がないと、雨が降るよ?」 「……なら。”ここ”で、いいです」 「それってさ……」