「じゃあ美月、鍵を閉めてね」
「うん。送ってくれてありがとう、生吹くん」
「……」
「生吹くん?」
いつもなら「じゃあね」と言うのに、今日は帰ろうとしない。嬉しいけど、何かあったのでは?と、美月の顔に不安が浮かんだ。
その時――
「ねぇ。今日さ、泊まってもいい?」
「ふぇ……!?」
いきなりの申し出に、生吹が泊まるのは初めてじゃないのに、妙に緊張してしまう美月。
「で、ででで、でもお部屋、きたないかも、だからっ」
「それでもいい」
「えぇ……っ」
心の準備が出来ていない美月に、生吹はあとひと押しとして――今日、美月が着ていた天使のコスプレの入った袋をガサッと持ち上げた。



