「げ」と伊織が思っていると、次の到着駅がアナウンスされる。

それは、純弥の降車駅。



「じゃ、俺はこれで!」



プシューと音がして、さっさとといなくなった純弥。残るは、女性客に囲まれた伊織のみ。

ホームでにこやかに手をふる純弥を睨みながら、



「ほんと、いろいろ押し付けてくれる……!」



と、伊織の口元がひくつくのだった。



――しかし。



ホームで笑っていた純弥。

けれども数日後、状況は一転する。



「お前【 月光 】の仲間だな?」

「え――?」



その声で、平和な日常に、わずかな亀裂が入る。



そして非常事態が起こっている事を、未だ知らない美月たちは、



「ハロウィン、純弥先輩も来てくれるんだって~!」



と、ウキウキしながら、パーティーの準備を進めるのだった。