授業中呼び出しならマシと心の中で唱えながら、彼の言葉を待つ。
「うさぎから俺にキスしてよ」
「へ……?」
「だから、お前からキスしてって言ってんの」
ちょっと待って。彼はなんて?
予想よりはるか斜め上、いや、予想外すぎる!
自分の唇を人差し指でトントンして、ここってアピールしてるけど無理じゃない!?
私たち付き合ってないし、ましてや私はタイプじゃない人にファーストキス奪われるの?
「さっき、女に二言はなしって言ったよね?
約束破るんだ?」
「う……、ちょっと心の準備させてください」
「いーよ、待ってあげる」
これで約束破ったら今度こそ家がなくなりそうだし、私が約束破るのは嫌な人だから仕方ない。
相手は犬!犬にキスすると思えば行けるはず…!
頑張るのよ私!
「目、瞑って…?」
「ん」
よく見ると、まつ毛長くてほんとに綺麗な顔立ち。
皆がかっこいいって騒ぐのは納得だけど…!
ああ、私のファーストキスさよなら。


