「社長がお待ちです。どうぞこちらへ」
眼鏡の女性に促されて、私たちは奥へ進んでエレベーターに乗る。
エレベーターもガラス張りで、外の景色が良く見えた。
チーンッと鳴った階数は、【63】を指している。
ろ、63…!?
今住んでいるマンションも最上階である30階で、ものすごく高いって思っていたのに倍だ。
高所恐怖症じゃなくて良かった、と呑気なことを思いながらエレベーターを降りた。
「俺たちが目指すところはこのまま真っ直ぐだ。すぐに終わらせるから、早く帰ろうな」
「ありがとう、理王」
手をぎゅっと握りながら、理王は私の半歩前に出て誘導してくれる。
突き当たりの部屋が目的地だと思われるけど、廊下が長いせいか、扉はとても小さく見えた。
学校の廊下と変わらないくらい長い…。
それにしても、理王が呼ばれるのは違和感がないけど、どうして私の存在を知っているのだろう?
私と理王の両親は面識がなく、仕事関係者も今日が全員初対面だ。


