気が狂ったかのように振り回すナイフを、理王は的確に回避する。
一瞬たりとも見逃したくなくて、瞬きをするのを忘れてしまうくらい綺麗でかっこいいと思った。
右手に力を込めて、一発で泉海斗を気絶させた。
多分、理王の無意識の優しさ。
私より一回り二回り大きい背中に駆け寄りホールドする。
「理王、ほんとにありがとう……」
意地悪だけど困った時はいつも助けてくれて。
今日、誰よりもかっこよかった。
「なぁ、うさぎ」
「何……うわぁっ!?」
振り向いた瞬間、理王が片腕だけで私を持ち上げて気づけば彼よりも視線が上だった。
「あのマンションの契約はもう終わりだ」
「え?いきなりどうして?」


