子兎さんは俺様総長のお気に入り



全国NO.1となれば、他の族からそれなりに恨みを買うことが少なくない。


いちいち顔も名前も覚えてられないが、泉は別だ。




「お前は“どっち”で恨んでる?」



「どっちもだよ。お前がいる限り俺は一番になれない。」



「それだけの理由でうさぎを狙ったのか?」



「だったらなに?今までお前の存在で苦しんだ。
今度は島崎、お前が苦しむ番だよ」




こいつは、俺と同じ道を辿ってる。
島崎グループのライバル社、泉グループの息子だ。



俺たちは、顔もほとんど知らない状態で小さい頃から競わされてきた。


『泉の倅には絶対に負けるな。』


『島崎グループは常に一番だ。』



俺にとってはその言葉が苦痛で、ずっと縛り付けられている。
憂さ晴らしによく夜中に抜け出していたら、ちょうど先代の総長に声をかけられ黒龍に入った。


やつもまた俺と同じ境遇だから、たまたまこっちの世界へ足を踏み入れたか、俺に執着してどうにか潰そうとしたか。