「まさか知らなかったの?」
「…」
―ピロリンピロリン―
着信音にハッとして、スマホの画面を確認すると理王だった。
そうだまず、理王に知らせないと…!
出ようとすると、泉海斗によってスマホを奪われる。
『おい、メール無視すんなよ』
「もしもし」
「ちょ、勝手にでな…んっ!」
スマホを奪い返そうとすると、口を押さえられてがっちりとした腕に自由を奪われる。
『誰だ』
「んー、子兎さんを今から攫う人?」
『どこの族だか知らねぇが俺の女に手を出してタダで済むと思うなよ』
「こわーい。あ、子兎さんを目的地に連れて行ったらあなた宛に画像送るからそれを頼りに来るといいよ。
でも、あんま遅くなると俺も男だからさ…子兎さん食べちゃうかも」
「んー、んーっ!」
私の抵抗は儚く散り、電話は切られてしまった。


