「はは、可愛い声。
言わないとここにもしちゃうよ?」
「っ!?」
こことは、私の唇のことで長くて骨ばった指がトントンと指す。
慌てて首を横に振るけど、通じなくて…
―ヒック―
「待って!言います言います!」
ドキドキしすぎで、普通の女の子ならこんなところでしゃっくりなんて出ないのに出てしまって観念する。
理王はあっさり私の身体から離れて、ネクタイで拘束されていた両腕を解放してくれた。
「で?俺に何隠してたの?」
「1週間ぐらい前から、物が無くなってたり下駄箱に黒龍に近づくなっていう紙が入ってたの。
上履きに画鋲とか、机の中にカッターが入ってたりもした」
「ごめんな。気づかなくて。
明日から二度とおこらないように黒龍がお前を守る」
あの俺様の理王が謝るなんて。
私を見据える瞳は真剣で、冗談を言う気にはなれなかった。


