どうしよう、家になかったら毎回誰かに借りないといけなくなる。
「うさぎが忘れ物なんて珍しいね」
「うん…ほんとに忘れて来てたならいいんだけど…」
「今日、朝のこともあるからなんか嫌だね」
そんな会話をして無事に1日が終わって家に帰ると、数学の教科書はどこにもなかった。
理王の部屋も漁ったけど見つからなくて、不審がられる前に撤退して自分の部屋へ戻る。
そして次の日。
「ない…」
下駄箱を開いて絶望する。
夢であってほしかった。
「上履きがない…」
扉を開けたまま思考が停止してその場に立ち尽くす私。
「ちょっとうさぎ!大丈夫!?
相談したほうがいいんじゃない?」
「相談って誰に?」
結局、あの後上履きを探して見つからなくて恥ずかしいことにスリッパを借りている。
その後、机の中に入れていた教科書は落書きされていて教科書として役割を果たすのは難しい状況だった。
“ 調子に乗るな”
“ 黒龍の幹部に話しかけるな”
“ 理王さまに話しかけるな”
など、それはもう傷つくことしか書かれていなかった。
都会ってこんなにも怖いの!?
そもそも、直接言ってくれたらいいのに。


