もっとドキドキさせて

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思わず言ってしまった。

ーーーー私はお嬢様のことが好きですーーーーー

静かな部屋の中で、発した言葉の名残がこだまする。

「えっ…?」

お嬢様は訳が分からない、と言ったように、ぽかーんとしている。

ずっと守ってきた沈黙を破ってしまった。

「私のこと好きって…?」

耐えられなかった。
泣きそうな顔で、あの日のことを振り返るお嬢様の表情。

本当の気持ちが、溢れてしまった。

「はい、好きです。ずっと好きでした。」

これ以上もこれ以下でもない、本当の言葉。

「え?でもなんで?私に冷たくしてたのに…」

「それは誤解です」

俺の言葉にお嬢様は、うーんと考え込む。

「誤解?」

「はい。詳しくは言えませんが誤解なのです。私は昔も今もずっと、お嬢様のことを1人の女性として見ています」

そう言うと、お嬢様の顔は一気に赤くなった。


誤解…だった。

お嬢様の悲しい表情を見るのは苦しかった。
どうしても自分のものにしたかった。
寝ているお嬢様を見てキスをしたいと何度思ったことだろう。


「な…急にっ」

そんな表情を俺の前でしてくれるのは久しぶりだった。

「お嬢様は私のこと、どう思っていらっしゃるのですか?」

もう、お父様との約束はどうでもいい。
お嬢様の、さっきの俺に向けた苦しい表情を見たら、そう思った。
お嬢様の未来も、今のお嬢様の笑顔もどちらも、自分が守りたい。

「え…っと」

顔を赤らめながら、宙を見る。

「好き…」

今まで見た中で、一番かわいい照れ笑いだった。
思わずお嬢様を抱きしめる。

もしかしたら許されない恋かもしれない。
だけど、自分が守りたい、一緒にいたいと思ったのはお嬢様だ。
嬉しいことに、お嬢様自身もそれを望んでくれている。

「それでは、これからは執事兼恋人ということで」

にっこり笑うと、お嬢様も「えへへ」と笑った。

「恋人になるのはいいけど、誤解の意味、ちゃんと教えてよね」

そうだ、お嬢様には説明しないといけないことがたくさんある。
そして、お父様のこと。
課題は山積みだけど、乗り越えてみせる。






「何から話しましょうか…」





fin