【短】マッチングしたパートナーは、人気アイドルでした!?

 私史上いちばんかわいい姿になれたと思うけど、アイドルに間近で見られて合格点がもらえるとは思えない。

 開け放った扉にかくれるように、私はズササッとうしろに下がった。



 少子高齢化対策に全国民の結婚が望まれる現代でも、パートナー制度が免除される職業というものがあって。

 そのひとつが、アイドル…のはずなんだ。


 だから、唯央くんがここにいるわけないんだけど。




「わ、私は空野(そらの)帆風(ほかぜ)です!…じゃなくてっ、ど、どうして唯央くんがパートナーにっ…!?」


「帆風ちゃん…ね。かわいい名前っ!あ、俺がパートナー制度使ってる理由だっけ?」




 ニコッと、満面の笑みを向けられるだけでも鼻血ものなのに、“かわいい”のおまけつき。

 私、前世でどんな徳を積んだんだろう!?


 はわわ、と昇天しそうになっている間に、唯央くんはまっすぐ立って、頭のうしろに手をやった。