2人を追いかけるように反対側にもどると、ざわざわとはなす声が聞こえてくる。
カメラが2人をとらえるなか、唯央くんはグッ、グッと体を伸ばして、飛びこみ台に立った。
ゴーグルを下ろす横顔を、うしろからながめる。
「位置について…よーい!」
ピッ、と3年生の男子が笛を吹く。
2人はきれいな弧を描いてプールに飛びこむと、クロールで泳ぎ出した。
スタートダッシュは奏輝先輩がリード…!
グッと手を握って、2人が泳いでいくのを見守る。
奏輝先輩はスマートな泳ぎ方で、唯央くんは体を大きく使っていた。
プールの反対側に先に着いたのは、奏輝先輩。
くるっとターンした時点では出おくれていたけど、唯央くんはそこからなんとか奏輝先輩に追いついた。
「すごい、接戦!?」



