奏輝先輩は、なんで私のこと好きになってくれたんだろ。
自分で言うのもなんだけど、いつも面倒をかけてうざがられてると思ってたのに…。
もやもやしたまま、私は部活に行く準備をするために、せなっちと教室に戻った。
唯央くんは…いないみたい。
「あ…飛鷹くん!」
「あぁ…あんたか」
廊下を通りがかる飛鷹くんを見つけて、急いで教室を出ると、飛鷹くんはふり返って足を止めてくれる。
つい声をかけちゃったけど…よかった、カメラはない。
それでも人目がある廊下だから、私はこそっと近づいて声をひそめた。
「自己紹介してなかったよね、空野帆風です。…あの、唯央くんって水泳やったことあるの…?」
「水泳?さぁ、知らないな。唯央は秘密主義だから」
「ひ、秘密主義…」
そうなんだ…??
そんなイメージ、ぜんぜんなかったけど。



