お、おかえりのちゅー!?

 行ってらっしゃいだけでもいっぱいいっぱいなのに!?




「決まりね!あ~、楽しみ!ぜったい勝つぞー!」


「えぇっ、ちょっとっ、まだ私なにも言ってないよ!?」


「でも、いやって顔してなかったし。いいよね?」


「うっ」




 顔に出てた!?

 た、たしかにいやじゃないけど、まだ心の準備が…っ!


 なんて、目が泳いでるあいだに、キーンコーンカーンコーンと予鈴が鳴ってしまった。




「あ、そろそろもどらないとまずいね。帆風ちゃん先にもどってて。俺、時間空けてもどるから」


「うっ、うん…!」


「またね。あと1時間、がんばろう!」




 背中に回っていた腕が離れて、唯央くんがニコッと笑いながら手をふる。

 私も手をふり返して、恥を飲みこむように空き教室から出た。