【短】マッチングしたパートナーは、人気アイドルでした!?

「はじめまして、アイドルくん。僕は月丘(つきおか)奏輝(そうき)。帆風とおなじ部活の先輩だよ」


「ふーん…で、なにを要求したいわけ?」




 ぎゅ、と私を抱く腕に力がこもる。

 とげとげした態度を取る唯央くんを見るのなんて初めてで、ゴクリとつばを飲みこんだ。




「はなしがはやいね。僕が求めることはひとつだよ。――パートナーの座を代われ」




 私の顔も、唯央くんの顔もハッキリ映った写真を見せながら、奏輝先輩は目を細める。


 きょうはくなんて、するの…?




「…あんた、帆風ちゃんに惚れてんの?」


「そうだよ。1年前からね。…どうするの?この写真をバラまけばおまえたちは終わりだし、僕はどっちでもいいけど」


「そんな…」


「いいぜ。その写真をかけて、勝負してやる」


「唯央くん!」




 なにを言って、と顔を上げると、唯央くんは私を見ていつもどおり笑った。

「大丈夫」とささやく声がする。