ガラッと音がしたあと、ぎゅうっと抱きしめられながらそう言われて、別の意味で目を丸くした。
ふり返ると、頭に浮かんだとおりの顔がそこにある。
「唯央くんっ…!?」
「うん!やっとはなせるね~」
ガランとした空き教室に、私と唯央くん、2人だけ。
私はスマホをポケットにもどしながら、「な、なんで」とそれだけをなんとか口にした。
「今日の撮影、ながいでしょ?1人ちょっとずつ休憩時間があるんだ」
「そ、そうなんだ…休憩…」
唯央くん、いつの間に教室から出てたんだろう…。
ニコニコ笑う顔がいつも家で見てる顔とおなじで、なんとなくホッとする。
でも、唯央くんは私を離して、ならんだ机のあいだに移動した。
「帆風ちゃんさ、まえの休み時間に飛鷹とはなしてたでしょ」
「えっ?」