なんのことだろう、と思って顔を上げると、教室のうしろに空席が2つあった。


 ぜんぜん気づかなかった…。


 ざわざわしつつ、みんなが席に座ると、先生は名簿をトンと教卓に置いて教室を見回す。




「大事な知らせだ、よく聞くように。…今日はテレビ局が撮影に来ている」


「え?」


「テレビ局?」


「なんで?」


「アイドルが1日学生体験をするっていう企画で、うちの学校を使うことになったんだ」


「「えー!?」」




 いや、学生体験って、アイドルってほとんど学生でしょ…?


 ななめまえの席のせなっちと顔を見合わせて、ふたたび先生を見る。




「うちのクラスには2人が来ることになるが、みんな、はしゃぎすぎないように。彼らにも、スタッフにも迷惑をかけるんじゃないぞー」


「彼らって、男かよ…」


「きゃー!だれが来るんだろう!?」