「ぁ…」




 じゅわりと、ほおが熱くなる。

 言葉が出なくて、開いた唇がふるえた。




「…なんか、はずかしいな。でも、これでわかってくれたよね?」


「…うん…」




 唯央くんに聞こえてるかわからないくらいの、ちいさな声で返事をする。


 唯央くんも、私にドキドキしてくれてるんだ…。


 胸がキュウッとして、指先がしびれて。

 耐えきれずに顔を上げると、唯央くんの頭もうごいて、チュッと、唇にやわらかい感触がした。




「…え…?」


「あ、ごめん…」




 顔を離すと、丸くなった唯央くんの目の中に、おなじ顔をした私が映りこんでいる。

 なにが起こったのか、理解したのは5秒後。


 私は口を押さえて、ゆるんだ腕のなかから体を出した。


 キス、しちゃった…!?