「あれ、ふしぎ。帆風ちゃんの涙、甘いや」
きょとんとして言ったあと、唯央くんは私を見てニコッと笑った。
「なんちゃって。俺の演技力、どう?」
「え、えと…っ」
赤くなった顔をかくせずにいると、唯央くんは目を丸くして、ぼそっとつぶやく。
「…本当に、甘いかも。…帆風ちゃん、かわいすぎっ」
へらりと笑った唯央くんに、ぎゅうっと抱きしめられる。
そんなことをされて、私の心臓が落ちつくわけもなくて。
「俺、幸せだなー。こんなにかわいいパートナーができて」
「わ、私もっ、だよ…!唯央くん、かっこよくて…私、ドキドキしてばっかり…」
「…」
返ってくる言葉はなかったけど、ぎゅうっと腕の力が強まった。
唯央くんなら“うれしい!”とか言いそうなのに…ギャップにドキドキする。



