《あ~、もう…っ!わかりました!やりましょう!》
《本当か!》
《たしかにあなたは私の命の恩人ですから…》
そんな調子で、むりにしか思えなかった目的に、いつの間にか市役所全体が巻きこまれていって…。
一波乱起こしながらも、最後には本当に住民票を作ってしまったことに、また笑い声がかさなった。
たしかに納得できる道筋だったんだけど、それでもやっぱり冷静に考えるとおかしくて、感動と入り混じった涙が出る。
「はー、おもしろかったね~!」
「うんっ!あはは、それなのに私、泣かされちゃって…もうそれすらおもしろい!」
「本当だ。帆風ちゃんってけっこう、涙もろいタイプ?」
「うん、わりと泣いちゃ…」
答えてるとちゅうに、右目の涙を親指でぬぐわれて、左目の涙をチュウ、と唇で吸われた。
それに思考が追いついた瞬間、ぼぼぼっと顔が熱くなる。



