「うわさをすれば…!」
「いますいます、ここに!」
「月丘先輩って、帆風のパートナーなんですか?」
ひとだかりが割れて、廊下に立っている奏輝先輩の姿が見える。
きれいな茶髪をした細身の先輩は、「ははっ、僕が?」とさわやかに笑った。
「ないよ。…それより帆風、ちょっと来て」
「はっ、はい!」
「なーんだ、先輩でもないんだ…」
やばい、奏輝先輩に呼び出されるなんて、私なんかの通知見逃したかな!?
ガタッと立ち上がって、あわてて廊下に出ると、奏輝先輩は私を見下ろしてニッコリほほえむ。
「おまえ、朝のミーティングサボったでしょ」
「うぇっ、今日ミーティングありましたっけ!?」
コツンと、小突かれた頭を抑えながら目を見開く。



