「お願い!」


「うっ…わ、わかった!でも、あの…目、つむっててほしい、です…」


「ははっ、うん!」




 じぃっと見つめられてうなずくと、唯央くんは元気に笑って、ほおを差し出すように顔を傾けながら目をつむった。


 うっ、これはこれでドキドキする…!




「…行って、らっしゃいっ」




 ええい、女は度胸!と覚悟を決めて、唯央くんのほおにチュッとキスをする。

 でもやっぱりはずかしくて、すぐに身を引くと、唯央くんは目を開けて私を見た。

 やわらかく細められた目がまた閉じるとき、唯央くんの顔が近づいてきて、私のほおにチュッと温かい感触がする。




「行ってきます、帆風(ほかぜ)ちゃん」


「い、唯央くんっ!?」


「へへ、すげぇやる気出る!じゃあまた夜にね」