〈〈ゆっくりできるの5分くらいだからな〉わかってるって。…ごめん、帆風ちゃん。俺に5分ちょうだい〉
時間をもらう立場は私のほうです!
そんなツッコミを心のなかに留めて、「う、うん、もちろんだよ」と答える。
〈よかったらこのあとも見てて。俺さ、いままでファンに向けて“愛してる”って言ってたけど、これからはぜんぶ、帆風ちゃんに向けて言うから〉
「えっ」
〈みんなには内緒ね?〉
「うっ、うんっ!」
とっさに応えてから、口を押さえる。
え、え…!
いま、なんて言った!?
これからはぜんぶ、私に向けて…。
え~!!
そんなのいいの!?
〈このあと歌うのは、今日にピッタリな曲だから。心をこめて歌うよ〉
「う、うん…」



