その昔、私たちのご先祖様は“少子高齢化”という壁にぶつかったらしい。

 政府は色んな対策を打ったけれど、その問題を乗り越えることができず、十数年後には人口が激減。

 人材不足解消のため、AIが駆け足気味に発達して、いまの世界ができたんだとか。




《おはようございます、帆風(ほかぜ)。今日はランニング日和ですよ。自宅周辺を10分走るのはいかがでしょう?》


「おはよう。今日はランニングなんてしてるひまないよっ!10時でしょ、“パートナー”と会うの!」


《はい。それまでのスケジュールには余裕があります。30分はランニングを楽しむことができますよ》


「増えてるじゃんっ!ランニングなんてするひまがあったら、支度をしなきゃ!今日はメイクだってするんだからっ」




 枕元のスマホから発される女性の声に言い返して、ベッドから足を下ろす。