「俺、アイドルになりたかったんだけど、子どものころからパートナーにもあこがれててさ。俺の運命の女の子に、どうしても会ってみたかったんだ」
「そ、そう…なん、デスカ」
「あ、ためで話してよ。…そう、どっちもあきらめられなかったから、欲張っちゃった。これ、内緒ね」
いたずらに目を細めて、笑う口元に人差し指を立てる。
笑顔はよくテレビで見かけたけど、こんな顔は見たことないっ!
「で、でもっ、唯央くんのパートナーが私なんかで、いいのっ!?」
唯央くんが内緒って言うなら内緒にする!
けど、どう考えたって私じゃ釣り合わないよね!?
自慢じゃないけど、私、よく怒られるのが特徴の、ふつうの高校生だよ!?
玄関のすき間からのぞけば、唯央くんはきょとんと目を丸くして、うーん、とあごに手を当てた。
「いまのところ、俺のほうが不安になるくらい、帆風ちゃんの仕草ひとつひとつがかわいくて、パートナーってすごいなと思ってたんだけど」