それから一週間が過ぎたころ、、、。
「こちらは新宿駅前の雑居ビルです。 数分前に若い女性が飛び降りたというニュースが入りました。」
基地でテレビを見ていたニールは怪訝な顔でキールと話している。
「おかしいな。 自殺するようには見えなかったが、、、。」 「しかし、このところ毎日のように自殺者のニュースが続くなあ。」
「そうだ。 しかも全員揃って自殺するような理由が見付からない。」 「ねえねえ、これ見てよ。 ツイッターに変な情報が載ってるわよ。」
洋美はさっきからスマホを弄りながら驚いた顔でニールを呼んだ。
 「何だって? 自殺したのは全て女性だって?」 「しかもね、みんな白い猫を見掛けた後に自殺してるの。 変だよ。」
「そりゃ変だ。 何か有るぞ。」 寛貴は妙な胸騒ぎを感じた。
「行ってみよう。 ニールは情報を逃さないように集めてくれ。」 「分かった。」

 寛貴 洋美 正弘の三人は新宿駅前に急いだ。 「この辺りに集中してるんだよな。」
周囲を捜索していると、、、。 「あれは、、、。」
洋美が指差すビルの屋上には今にも飛び降りそうな女子中学生が居た。
「チェンジ ブルー! ワイヤーグローブ!」 フェンスを乗り越えようとしていた女の子を救助して路上に下した時、、、。
 「やいやいやい、よくも俺様の計画を邪魔してくれたな。 生かしてはおかんぞ。」 「貴様は、、、。」
「ベーサーアーミー こいつらを始末しろ!」 「やってやるか!」
「チェンジ ホワイト!」 「同じくピンク!」
「現れおったな ケッセンジャー! かかれ!」 「待て!」
その時、上空で待機していたエースキャッチャーからブラックとシルバーが下りてきた。 「ようやく揃ったな。 片付けてしまえ!」
「行くぜ! ブルーグローブ!」 「女の子たちの仕返しよ! ピンクサンダー!」
「こっちにも居るんだぜ! ホワイトシュート!」 「舐めんじゃねえよ! ブラックボール!」
「仕上げだ! シルバーパンチ!」
 「えーい、こうなったらブルーを道連れにしてやるわ! 目眩ましの術だあ!」 「あう、、、。」
 怪人の目を見てしまったケッセンブルーは崩れるように倒れてしまった。 「よしよし、貴様はもう終わりだ。 さらばだ。」

 「何? ケッセンブルーの動きを封じただと?」 「さようにございます。」
「やつに動き回られては手が出せんからな。 いいだろう。 作戦を続けたまえ。」 「かしこまりました。」
 「しかしさあ、ブルーが倒れてはどうするんだ?」 「分からない。 一体全体何が、、、?」
基地へ戻ってきた四人は額を集めて唸っている。
その頃、寛貴は得体の知れぬ悪夢にうなされ続けていた。 「ここは何処なんだ?」
「さあ、走れ。 何処までも走り続けろ。 貴様を地獄の果てまで追い詰めてやるぞ。」
不気味な声が寛貴を追い掛けてくる。 追い払おうとしても姿が見えない。 辺りは漆黒の闇である。
 その間、新宿周辺では意味不明な自殺が相次いでいた。 「今日もかよ。」
「見て。 自殺したのは全て女性だよ。 事務員さん、お医者さん、主婦に学校の先生まで、、、。」 「どうするんだ? 止められないのか?」
「ブルーが居たら、、、。」 ニールは何気にベーサーブックを開いた。
「フムフム、そうか。 やつはベーサーキャットだ。」 「何だ? 猫?」
「そうだ。 でもな、ただの猫じゃない。 催眠術を掛けて思い通りに操ってしまう恐ろしい猫だ。」 「じゃあ、ブルーは?」
「おそらくは催眠術を掛けられたんだ。 問題は目だな。」 「目か。」
正弘は部屋を歩き回りながら天井を睨みつけた。 「う、、、。」
「ブルー、気が付いたか?」 「ここは?」
「安心して。 基地よ。」 「そうか。 変な夢を見た。 不気味な声に追いまくられる夢だ。」
「そうか。 それでみんな疲れ果てて飛び降りたんだ。」 「で、どうするよ?」
「あの目を潰せればいいんだが、、、。」 「猫なんだろう? じゃあさあ、またたびを使おうよ。」
「またたびを?」 「そうだ。」
「でもどうやって?」 「ブラックボールに仕込めないのか?」
ニールはボールを取り出して考え込んでしまった。 「おいおい、こんなことしてる間に何人もやられてるんだぜ。 急ごう!」
イライラしている正弘はニールの肩を叩いた。 「そうだ。 ワゴンを出してくれ。」

 五人が新宿へ来てみるとアーミーが手当たり次第に暴れていた。 「よし。 あの群衆へ飛び込もう。」
ラッシュアワーの群衆の中へ変身した五人は飛び込んでいった。 「ややや、動き出したな? やつらにかかれ!」
群衆を押しのけるようにアーミーが五人を取り囲んだ。 「ちきしょうめ、これじゃあ動けないぜ。」
「任せて。 フラッシュボード!」 凄まじい閃光が辺りを包んだ。 「やってやるぜ! ブルーグローブ!」
「おらおらおら、かかってこい! ホワイトシュートだ!」 「こっちもよ! ピンクサンダー!」
「負けて堪るか! シルバーパンチ!」
「よし。 ブラックボールだ!」 「オッケー! おーい、ホワイト!」
「あいよ! 悔しかったら取って見な! シルバー 行くぜ!」 「こっちだぜ! こっち!」
「もしや、、、それは俺様のまたたびじゃないか! 寄越せ! 寄越さんか!」
「誰が貴様なんかにやるかってんだ。 ブルー 行くぜ!」 「貰ったぜ! 化け猫野郎!」
 ベーサーキャットは兵士たちを薙倒し踏みつぶしながら突進してくる。 「おーい、行くぜ! ピンク!」
「オーライ! 貰ったわよ!」 「寄越せ!」
「あんたなんかに誰があげるもんですか!」 「えーい、このやろうめ! 目眩まの術だあ!」
「待ってました! ミラーボード!」 「ミャーオ!」
鏡に反射した自分の目を見たベーサーキャットは白い煙を吐きながら爆発した。

 「ロボットだ!」 ホワイトがビルの向こう側を指差す。
「キャットロボだ。 みんな、ペンダントを空に翳すんだ!」 「出でよ 我らが装着合体 ダイエース!」
五人のペンダントから射出されたロボットスーツはエースキャッチャーからのミラクル光線を受けてダイエースに合体した。
「よし、ホワイトフェンサーだ!」 しかしキャットロボは身軽にフェンサーを交わしてしまう。
「ちきしょうめ、これならどうだ!」 だがブラックライフルに怖じることも無い。
「よし。 ドライブタイフーンだ! ピンク 頼んだぞ!」 「オッケー。 竜巻前進!」
ダイエースは腕を広げて超高速で飛び上がった。 そして電磁ネットでキャットロボを包み込む。
「行くぜ! ケッセンジャー必殺武器 電磁剣!」 真っ二つに切り裂かれたキャットロボは爆発した。

 「それにしてもさあ、あの白猫は何だったんだい?」 「おそらくはベーサーに操られてたんだよ。」
「操られてた?」 「そう。 人間たちに催眠術を掛けて自殺させるようにね。」
「ひどすぎないか?」 「いや、ベーサーならやるよ。 それがあいつらだ。」
洋美は女子中学生が飛び降りようとしていたビルの屋上に目をやった。
夕日がビルの向こうに沈んでいく。 昔はもっと鮮やかだったはず。
誰がこんな風に変えてしまったのか?
科学技術が進歩してしまった地球に物悲しさを感じながら、、、。