後ろから長々と続く声は飄々としていて、早くどっか行ってよ、と歯噛みする。
おじいさまは優雅に紅茶なんて飲んでいて、どうもすぐに追い出す気がないらしい。
「貴族の家を巡って、祝福を授けてくるように、と。つまるところ、ベル公爵令嬢もいずれお訪ねするお相手だったのです」
「なるほど…では、せっかくだ。我々に祝福を授けていただこうか」
お、おじいさま!?
どうするつもりなんですか、と前のめりになっておじいさまを見つめると、にこりと笑みを返された。
何、心配はいらぬ、と声が聞こえてきそう。
「えぇ、喜んで。失礼致します」
ハリー司祭はテーブルの横に来て、私とおじいさまの間に立った。
人権のない役職を生み出す教会の人に、思わず緊張しながら、背筋を正す。