いったぁ…!


背中の痛みに悶えつつ、薄く目を開けると、目の前に半開きの口があった。

視線を上げればメガネが見えて、レンズの奥でギュッと(つむ)られた目が開く。


わ…綺麗…。




「ぇ…?あ、ご、ごめっ」


「ちょ、ひ弱だな~」




下駄箱に手をついていた新原くんはバッと後ろに下がって、見開かれた目を長い前髪の下に隠した。

思いがけず、至近距離で見てしまった綺麗な顔が目に焼き付いて、ドキドキする。




「な…何すんのっ!?迷惑なんだけどっ!それからっ、人にたかるなんて醜いよっ!」


「はぁ?」




新原くんを押しのけて、後ろの人達に悪癖(あくへき)をぶつけた。


まさか、あのもじゃっとした髪の下にあんな顔が隠れてたなんて!

不意打ちすぎじゃない!?