─それはどこか懐かしく、どこか変な夢。


お座敷の真ん中、数多くの書物を広げた真ん中。


そこに両手を広げて、大の字で寝っ転がる童子。


男の子か女の子かは分からないその子は和服に身を包み、白猫に顔を舐められながらも、天井をぼんやりと眺めて。


『幸せになるのに、特別な力なんて要らない』


そう、呟く。


『ただ愛し合うものたちが、身を寄せ合うだけだ』


脈絡の無い童子の呟きに、白猫が鳴く。


まるでそれは、童子の言葉に同調するかのようだった。