爽やか王子様が今日も私を口説いてくる。

「い、一条くん!!」

慌てて笑顔を作って、でも動揺を隠せない女子たち。
彼女たちのすぐ後ろに、一条日陽が立っていた。

彼はいつも通りの笑顔で、3人を見下ろしている。

が、私を見た途端に全く違う雰囲気でニコッと笑って、「はいこれあげる〜」とシークワーサージュース?を渡してきた。

「これ美味しいんだよね、俺のおすすめ」

「………ありがとう」

いや本当このタイミングで?
いいんだか悪いんだか分からない微妙なタイミングなんだけど。

まあ、彼はさっきの会話を聞いてないみたいだ。
私もしても女子同士の泥沼を見られなくて良かったな、と思っていた、その時。

「で、お前たち何?」

ぞくり、と背筋に悪寒が走った。
聞いたことがない声、見たことがない顔。
私の全く知らない、一条日陽がそこにいた。

それは彼女たちも同じようで。
顔面を蒼白にさせながら、彼を見上げていた。

それはそうだ、いつもニコニコ、キラキラスマイルのみんなの王子様が自分たちを見下ろしているんだから。

一条日陽はひどく冷静な表情で。
あ、私と同じで冷静にキツくいうタイプなんだろうな、なんて思った。

「俺が美月ちゃんにくっついてるから、媚び売るとかしてないし。調子乗ってる?それはそっちなんじゃない」

で、ともうワントーン下げられた声が、騒がしい水族館でもよく聞こえた。
  
「可愛さがないって?冗談言ってる?少なくとも、他人の悪口しか言えないお前らに可愛さってやつが皆無だと思うんだけど?」