爽やか王子様が今日も私を口説いてくる。



水族館に、2人きり。

………これって傍目にはデートに見えない?

今更そんなことに気づいて、ハッとした。本当に今更だけど、大丈夫かな、これ。

同級生がいたら普通にまずい気がする。

私にとってはこんな感じだけど、でも一応ファンは沢山いて、中にはほんとに恋してる子がいることも知ってる。

…………噂立てられるとか、されたら…。

その後のことを想像して、ちょっとげんなりした。
女の子特有の、あの争いに巻き込まれるのはものすごく嫌だ。


「?どうかした?美月ちゃん」

「別に、なんでもない」

「…そっか、俺ちょっと飲み物買いに行ってくるけど一緒に行く?」

「うんん、ここにいる」

「了解〜迷子にならないようにここにいてね」

私そんな子供じゃないんですけど。
声に出してないけど顔に出てたようで、絶対だからね?と釘を刺されてしまった。

あんたは私の親か。




人より頭一つどころか二つぐらい飛び抜けている後ろ姿が遠ざかっていくのを見てから、水槽へと視線を移す。
ふう、と自然にため息が溢れた。

………モテるんだろうな、ああいうところが。

さっきだって人が混み合ってると空いている道筋を見つけて誘導してくれるし、水槽の近くを歩かせてくれた。

それを感じさせないのもあって、すごく自然体だった。
こっちが集中してる時は話しかけてこないし。

やっぱり、私とは住む世界が違う。

って、これって私があの人のことを褒めているみたい。
実際、本当のことだけどたまにムカつくから褒めたくないんだけれど。