「これは、聞いてない……」

「ほんとびっくりだよね〜って違う違う、本当にちがうから、これは俺も予想外」

隣で弁明する一条日陽は嘘をついているように見えず…。

「ついてない…」

「ねえちょっと美月ちゃん?そこは喜んでよ?俺と2人きりで水族館デートなんだから…ってため息つくのやめて!?」



まさかの、この男と2人きりになってしまった。



「ねえそろそろその顔やめて?せっかくの綺麗な顔が台無しだよ?」

スマホを握りしめた私を覗き込んでくるのに思わず睨みつけそうになったけどなんとか堪え、スマホをポケットにしまった。


水族館について、4人で入場したのはいい。
けどその後、思った以上に人がいて。人の波に流されるようにばらけてしまったのだ。

すぐにりりからLINEが来たけど、りりは赤羽くんといるようで。
せっかくの2人きりを邪魔するなんてなんだかいやだから、そう、私はそう考えて、りりと赤羽くんは2人で見たら?と提案したのだ。

断じて、この男と一緒にいたいわけではない。
むしろ離れようとした。