話すようになった彼女は、どこか一線を引いていて。
常に壁があるように感じた。

でも最近はそれが変わった気がする。こう…猫が警戒してるかんじ。

触れようとすればするりと避けて、毛を逆立ててくるくせに。
たまに、無邪気な顔を見せるんだ。
ごくごくたまに、だけど。

もっともっと、かまいたくなる。




「…なに?」

「いや?美味しそうに食べるな〜って」

「あんまり見られると嫌なんだけど」

本当に嫌そうな顔で睨まれたけど、それを笑って流した。

冗談抜きで美味しそうに食べてるから、見てて飽きないんだよ。
そう伝えても「それでもやめて」とさらに睨まれてしまった。

これは本当なんだけどな。
本人は気づいてなさそうだけど、心の底から美味しいって思ってるんだろうなってわかるし。

……あー、可愛い。

まじで一緒に巡れてよかった。

心の中でこっそりと葛西さんにお礼を言う。