爽やか王子様が今日も私を口説いてくる。

そんな言葉が思いついた自分に、思わず頬が熱くなった気がした。でも、それ以上に。

あの笑顔が、もっとみたい。

それを…俺に、向けて欲しい。




(うわ…キタかも、これ)

なんかこう、ズキュン!ときた感じ。

急に立ち止まった俺に、後ろから歩いてきた赤羽がうおっ!?と声をあげた。

「おい、危ないだろ!」

怒ったように声を張り上げた赤羽に、ああ、ごめん、と空返事を返す。

天を仰いで、はあ、と無意識のうちにため息をついた。

「これが所謂ヒトメボレってやつか…」

「なにボソボソ言ってんの?」

赤羽がなにか言ってた気がしたけど、気にできなかった。

あの子に、どうやって近づこう。

その思いで、いっぱいだった。




いろいろ考えて、でも行動に移せず。

1年生が終わって、進級してやっと。

『大丈夫?』

『は、はい、すみませ…』

やっと、話すことができた。