爽やか王子様が今日も私を口説いてくる。

あの子……確か篠原美月って子かな。

入学した時から、ものすごい美少女って騒がれてたからクラスの違う俺でも知っている。

成績優秀、品行方正、先生たちからの信頼も厚い。

クールビューティーであまり笑わないから、高嶺の花として男もみんな近づけられないとか。



篠原さんは、ただ静かに本を読んでいた。誰かを待っているのか、時々ちらりと時計を確認する。

その姿に高嶺の花と言われる理由を理解する。

確かに大人びていて近寄りがたい雰囲気があるし、本人もあまり話しかけてほしくないんだろうな。

まあ、ちょっとキツそうな感じもするけど。

そう思い、早く行こうと視線をずらそうとした時だった。

ブブッとスマホの振動音が聞こえる。彼女のスマホらしい。机の上に置かれたそれに、彼女は視線を向け‥ふわり、と笑った。