爽やか王子様が今日も私を口説いてくる。

「ちょっとりり。」

「あ、あはは…」

小声で話しかけると、りりは気まずそうにごめん…と呟いた。

「だから昨日、楽しみなんて言ったのね。で、一条くんに誘われて思わずOKしたんでしょ。赤羽くんも誘うからって」

点と点がつながって理解した私にりりは「ご名答!」と元気よく言ったけど、私のジトっとした目を見てうう…と唸った。

「ごめん.どうしても赤羽くんとお近づきになりたくなって…」

しょぼん、とあからさまにへこむりり。
それを見て、今度は私が唸りそうになった。

私だって、りりを応援したい。
けど、けど必然的に、りりと赤羽くんが喋って私があの男と喋らないといけなくなる。

本当に拒否したい。あの2人と回ることで変な噂が立つのも嫌だし。

ああ、でも…。

「はあ、わかったからそんな顔しないで」

観念した私の声にりりの顔がぱあっと明るくなる。

「ありがとう!美月!!」

「ただし」

歓喜で抱きついてこようとしたりりを、片手で止める。???という表情のりりに、私はにこりと微笑む。

「例えば、本当に例えばだけど、りりと赤羽くん、私と一条くんとかで故意的に別れようとするのはやめてね?もし2人きりになりたいんだったら、私は空気を読んで1人で離れるから。いい?」

「………はい」

りりは私の圧に負けて、静かに頷いた。