「それ、あげるよ」

珍しく無邪気な感じで、ニカッ、と。
さっき赤羽君がしていたのとそっくりな顔で、笑った。

いつもの余裕そうな感じとか、そんなの一切なく。

「…ありがとう」

年相応の、心の底からの笑顔だった。

(いつもの表情(かお)より、いい感じ)

そんなことを思ってしまった自分に何だか恥ずかしくなって、慌てて窓の外を眺めた。