「ついにやって来たー!修学旅行ー!!」

「朝っぱらから騒がない」

いつにも増してハイテンションなりり。
それにため息が溢れつつも、私もワクワクが滲み出てしまっていると思う。

何といっても今日は、修学旅行当日。

今はもう、飛行機の中だ。

「ね、見てよ美月!あれ、沖縄じゃない?!」

「そんな短時間で着かないから……」

さっきから子供みたいにはしゃぎまくっているりりは、しかしハッとした。

横からクスッと笑い声がしたから。しかも、相手が相手だった。

「葛西さん飛行機初めて?俺も!楽しいよな〜」

通路を挟んだ隣でニカっと笑う、赤羽くん。
それが少年ぽいって感じで、嫌味な感じがしない、清々しい笑顔だった。

なんかこう…一条君と違う意味でキラキラしてる。

瞬間、りりの顔がボッ!と赤くなる。
今になって、はしゃいでいた自分が恥ずかしくなったらしい。

それでも「えと、ごめんうるさかったよね!」「赤羽君も初めてなの?」とアワアワしながら会話を弾ませ始めた。

この2人のやりとり…the青春って感じがする。
爽やかいい子な赤羽君と、可愛いりりが初々しい感じで喋ってると、見てるこっちがほのぼのするんだけど。



そこから2人は、それぞれが沖縄で行きたいところとか、やりたいこととかを話し始めた。

私も時々混じった、というかりりに話を振られた。

赤羽君は沖縄の鍾乳洞に行く予定らしい。
ライトアップされてるらしくてきれいなんだよ、ほら!とスマホを見せられたりりは、やっぱり嬉しそうに笑っていた。

そしてその会話に違和感なくスッと入って来た男が

「俺がこいつにおすすめしたんだよ、赤羽こういうの好きでさー」

と赤羽君と違うキラキラスマイルでこちらに話をふって来た。
うわ、出た‥‥という感情をなるべく出さないようにして、へえ、と軽く頷いておいた。

「美月ちゃんもしかして朝苦手?なんか眠そうだけど」

いつも通り軽く言う一条君に「お気遣いなく」と返した。
実際は、ものすごく眠い。昨日はちゃんと寝たのになあ……。

まあ、私と仲がいい人はみんな私の寝起きが悪いって言うし、いつもより早く起きたせいだろう。

寝たいけど、なんだか眠れそうにないし……。