爽やか王子様が今日も私を口説いてくる。

それをなんとか堪える。

さて、なんて言おうか。何がいいのかだろう。

そう考えた私はふと、彼の耳にかけてあった髪が、さらっと滑り落ちたのを見て、半ば無意識に思ったことを言うことにした。

「一条くんはヘアオイルとか要らなそうなぐらい髪が綺麗だね」

これが無難な返しなはず。
そう思って返せば、「そうかな?特に何にもしてないんだけど」と女子が敵に回りそうな言葉を口にする。

「ていうか今の俺の言葉にときめかなかった?」

「そうだね」

「もうちょっとリアクションしてよ」

そんなやりとりをしていると、授業開始のチャイムが鳴った。
そこに先生が入ってきて、「早く座れー」とクラスメイトたちに注意する。

そこで私の意識と目線は一条日陽から前へと移った。



「これから来月にある修学旅行の部屋割りとかを決めて行くぞー」

「いえーい!!」

「やったー!一緒がいいね!」