「いや…すみません。調子乗りました。」
フゥ。
「まず、楓。
楓は、ちょっと怒りすぎ。別に本人も悪気はなかったんだし…それに千秋くんに八つ当たりするのも違うでしょ?」
「うん、ごめん。」
「いや、謝って欲しいわけじゃないけどね?
今後は抑えてってだけだから。」
「わかった!」
「ん。
じゃあ、和泉くんだけど、んー別に言うことないんだよね…
強いて言えば、これからは楓を怒らせない方がいいよってことかな?」
「そりゃ…もう十分身に染みて分かったよ」
苦い顔をして笑みをこぼす和泉くん。
「普段はいい子なんだけど、キレたらだいだいの人手に負えないんだよね…」
「まぁさ、そういうとこもかわいいじゃん?」
すかさずフォローするのも完璧である。
「ふふっ、楓は手強いよ?」
和泉くんの耳元で楓には聞こえないようにそう囁いた。
楓を狙うのはいいけど…けっこー鈍感だからあの子。
「…まぁ、なるようになるよ。」
さっきとは打って変わって不敵な笑顔を浮かべた彼。
彼になら…もしかして。
…いや、まぁ考えすぎは良くないか。

「ちょっと…2人して何イチャついてんの?」
リサが怒ったように頬を膨らませている。
「イチャついてないよ。」
「そそ。ただの世間話ー」
和泉くんもさっきの二の舞にならないように、サラッと誤魔化した。
「…」
また、和泉くんを睨んでいる楓に、言った側から…と思いながらも機嫌を取るために頭を撫でる。
「……ん」
ちょっと不貞腐れてるけど、嬉しそうにしている楓に咲は安堵の息を吐いたのだった。