校門を通ると、歓声が沸く。
「キャアー!!!」
主に女子の声。
なんというか、楓はなぜか女子に大人気。
もう学校のアイドル的な感じだよね…
いや逆に楓の容姿でモテないとかあるわけないんだけど!
でも、登校する度にこう騒がれると…ちょっと困る。
目立つのは好きじゃないし…
男子もヒソヒソ楓には聞こえないくらいの声で、騒いでいる。
「おい、笹本さん来たぞ!?」
「マジ!?いや、かわいすぎん?」
「わかる。ファンクラブとかもあるらしいぞ。」
「まぁ、それぐらいありそうだよな。」
「彼氏、いるんかなぁ。」
「いや、アレくらいの美少女、彼氏の1人や2人いるだろ。」
「やめろぉー!!夢が壊れる!!!」
…うるさい。
「朝から騒がしいね」
「そうだねー。何かあったのかな?」
…いや、貴方が学校来たからこんなに騒いでるんだよ!?

…無自覚め。
はぁぁとため息をついて、楓の腕を掴んで急いで校舎に入り教室に向かう。
視線も痛いし、あんな騒がしいところにあんまりいたくない。
それは楓も同じだったようで、ふぅと安心した表情を浮かべている。
「あ、楓!それに咲!おはよー!」
「お、今日も2人は仲良いねー!!」
「咲!前に貸してくれた参考書返すねー」
私には、嬉しいことにこうやって声をかけてくれる友達がいる。
それだけでも、救われるってもんだよね。
ーガラガラ
教室の扉を開けて、中に入るとあたしの席の周りが人で埋まっていた。
キャアキャア女子達が盛り上がっていて、目をハートにしてある人を囲んでいる。
「またか…」