もやもやを抱えたまま、数日が過ぎた。
もやもやしていても仕事は待ってくれないので出勤する。今日は一日研究室。更衣室で白衣に着替え、身支度を整える。私が今関わっているのは、農作物の薬品だ。過去大流行した農作物の病気を大学と共同で解析し、薬品を開発するグループにいる。家庭菜園向けではなく大規模に農業を営んでいる生産者向けのもので、協力してもらっている農家もいくつもある。

つまり、私は私なりに忙しいのだ。プライベートで頭を悩ませている暇はないし、それを仕事まで引きずっている場合ではないのだ。

しかし、私は着替えの手を止め、つい悶々と考え始めてしまう。
百合にはっきりと聞いたほうがいいだろうか。今でも成輔が好きなのか、と。本当は自分が結婚したかったんじゃないか、と。
ああ、そんなことを軽く聞けたらこんなに悩んでいない。
仲が良い姉妹だからこそ、軽々しく踏み込めないのだ。恋愛関係は特に。

もし、百合がいまだに成輔を好きだとして、何か理由があって花嫁の座を私に譲ったとしたら……。成輔とのお見合いの段階からぐちぐち言っていた私をなんと思っただろう。心の中では私に怒りや憎しみを覚えていたのではないだろうか。