秋の京都は観光客が多い。
それが私の感想。

六年住んだ人間としては、感染症が流行っていた頃以外の京都はいつだって人だらけだ。静かな古都といった印象はあまりない。
それでも、京都の寺社や昔ながらの景観はいまだに大好きだ。早朝も夕暮れも、昼日中だって、京都には独特の表情がある。

京都御所近くのロングステイ用の下宿に入って、しばらくは久しぶりの街歩きをした。ひとり暮らしをしていた頃は山科の静かな住宅地のアパートに住んでいたので、今回の下宿はかなり都心部といった感覚。東京の都心部とはイメージが違うけれど。

職場は古巣の大学研究所ではない。大学との共同研究なのは間違いないのだけれど、わが社の京都支社の研究室に一時的に所属している。それでも、挨拶にいった母校で教授や研究を続けている仲間たちを見るとほっこりした気分になった。

ひと月は瞬く間に過ぎた。この一ヶ月、私は仕事と散歩しかしていない。
成輔とはたまに連絡を取っているが、定時連絡として【元気です】と送るくらい。向こうからはもう少し長いメッセージが来るが、私の健康を気遣う内容と向こうの近況報告程度。
最後の喧嘩はお互いに蒸し返さないようにしている。