「本当の私はね。家にいるのが嫌で嫌で仕方がない、ただの暗いやつなの。死んじゃったお父さんが唯一私に残してくれた音楽が救い。でも、あの家にいたらそれも取り上げられてしまうかもしれない。音楽より勉強しろって言われる。ピアノなんてって……。私は【linK】の陰に隠れないと音楽が続けられない。【linK】はたくさんの人に愛されているけど、本当の私は自分のやりたいことすら口に出せない。どうしようもなく情けない人間なんだ」
沢里は黙って私の話に耳を傾けていた。
「でも私は、それでも…………」
「それでも歌いたいんだよな、リンカは」
言いよどんだ私の言葉を、沢里が引き継ぐ。言い訳のしようもない。
まったくそのとおりだった。黙り込む私をよそに、沢里は突然立ち上がって大きく息を吸う。
「歌おう!!」
そして、広い公園の隅々にまで響くほどの大声で叫んだ。
