「そういえば歌ってる時にね、お父さんも応援してくれてたよ。がんばれ凛夏! って聞こえたの」
「父さんはライブが好きだからな」
柾輝くんが当たり前のようにそう言うから、母と一緒に笑ってしまった。
もしかしたら柾輝くんはずっと前から父の声に気付いていたのかもしれない。
それはちょっとずるいなと思った。
お父さん、音楽の力ってすごいね。
お母さんと柾輝くんがまた話せるようになったよ。
私たちに音楽を教えてくれてありがとう。
十何年ぶりに、家族そろって笑い合えた。
私たちは今日からまたやり直せる。
だって家族なんだから。
こうして私たちの初ライブは無事幕を閉じたのだった。